2011年07月19日

ピアサポータを目指そうと思ったきっかけのうちの一つ

膀胱癌で入院していたときのこと。

とつぜん、見舞い客が部屋に入ってきた。といってもここは4人部屋で、お客は私にではない。
しかし、やたらと大きな声でしゃべるおじさんで、いやでも言っていることが全部聞こえてしまう。お見舞いされている人の声や、おじさんの連れの、おそらく奥さんの声は全然聞こえないのだが。

「いやあー、Aさん、ここさいただか。いやもう、電話してもちっとも出ねえから、もう死んじまったかと思ったべ。まさかこんなとこに入院してるとはなあ。」

このへんではまず聞かない方言。しかもすごいことを大声で言ってる。
最初のうちは入院先を見つけた経緯など他愛ない事をしゃべっていて、こちらも気にしていなかったが、途中から急に話題が変わってきた。Aさんにではなく、連れの奥さんに話してるようだ。奥さんにしてみれば耳タコの話なのかもしれない。

「あのな、普通は癌なんかになったらな、そりゃもう大変だ。飯はのどを通らない、夜は眠れない。もう癌にやられる前に自分からダメになってしまうんだ。ところがな、このAさんときたら、癌になってもぜんぜん動じない。慌てるでもなく、怖がるでもなく、普通にしてるんだよ。それはなあ、なかなかできることじゃねえ。ほんとにAさんはえらい。」

Aさん、癌だったのか。今回入院してるのは別の病気のようだけど。

「オレが癌になった時だってな、Aさんに勇気もらったから今こうしていられるけど、Aさんに出会わなかったら、オレはもう生きていけなかったよ」

Aさんだけじゃなくこのおじさんも癌だったのか。
このあと、初めてAさんの声がかすかに聞こえてきた。「そんなことないですよ」と笑っているようだった。
posted by まーさん at 19:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 癌とピアサポーター
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